エッセイ
Vol.49 コジンジョウホウ ホゴホウアン
オカシナジダイニナリマシタ。センジツ、イシコッカシケンノハッピョウガアリマシタガ、シンブンニ、ゴウカクシャメイガツギノヨウニハッピョウサレテイマシタ。「タマキ ノブミツ、サトミ ユウスケ、・・・」
美しい日本語を忘れていまいそうなカタカナ表記の名前です。
4月から個人情報保護法案が施行された。個人の情報を漏らしたらいけないとのことで、誰が考えたのか氏名をカタカナ書きにしていた。一方で春の叙勲を受けた方々は写真と名前、略歴まで載せているのである。おかしな時代だ。
日本語は漢字とひらがな、カタカナが混じって、目で見ただけでその意味が伝わる。「霞たなびく山々」と言うと。山中の温泉地で朝日の昇る前にうっすらと霞が覆い、徐々に夜が開けてくると言う感じが伝わる。「カスミタナビクヤマヤマ」では何だろうかと思ってしまう。
宇良宇良○ 照流春日○ 此婆理 安我里 情悲毛 此登里志於母倍婆(大伴家持)
万葉集はこのように漢字で表記されているが、中国語ではないので中国人には読めないらしい。○はコンピューターにないので省略したが、読み方は次のとおりである。
”うらうらに 照れる春日に ひばり あがり なさけ悲しも ひとりしおもへば”
この文を読んだ時日本人の素晴らしさ、頭の良さを感じたものである。日本人は中国から漢字を習いながら、中国に同化せずに日本語に応用していたらしい。今でもモノマネをさせたら世界の一級品を作りだす素質が備わっている。昔からの日本人の習性のようである。
さて、個人情報の保護は大切なことである。しかし国家試験の合格者の名前は漢字でも良いのではないかと思う。両親がどのような気持ちで名前をつけたのか聞いたことはないが、私は「信光」の字を利用している。いい名前をもらった。
”私の光を信じなさい”
どうですか?病気も治りそうな名前でしょう。医者が自分の名前を隠してあなたを診察したら、どう感じる?怖いものがありますよ。
個人情報保護も大切だが、あまり杓子定規でも良くない。病室に患者さんの名前を書いてもいけないと言われたら取り違えが起こるのではないかと心配である。それでも「自分の名前は書かないでほしい」と言えばその希望は通るのである。偽名でも良いが「玉城 信光」は私の名前にしてほしい。
追記:2004年4月のエッセイである、個人情報保護も大切だが、コロナ流行以降、マスクの人が多くなり、患者さんの顔がわからなくなってしまった。昔からの患者さんは目だけでもわかるのだが。
最終更新日:2025.09.08