エッセイ
Vol.46 チャンス
1週間が過ぎ、また1週間が来るうちに、1ヶ月が過ぎ、一年も過ぎてしまった。新しい年になった。年を重ねると一年が早くなるといわれるが、皆さんはどうだろう。「どうか良い年でありますように!」元旦には心を込めてお祈りするのである。
昨年は一大事業を行った。我が家の大切な3点セット(家と墓と仏壇)の一つ、墓を移したのである。古い墓にはズシガメがあり、先祖の重みを感じながら移動した。一つの時代の移り変わりを実感した。次の世代へ橋渡しをしたと思う。
我が団塊の世代も、もう少しで定年である。しかし毎年忙しくなるばかりである。少し息切れしてきたかな?「もう少しで60歳だよ」と心の自分が体の自分に言い聞かせているのだ。患者さんから「先生、体を大事にしてね」と言われるこの頃である。
昨年はプロ野球の問題でファンがどれだけ大切かがわかった。ストをしても皆が応援してくれる。我が家の女性も「古田かっこいい!」などと言っている。医療も同じである。もっと磨きをかけた落ち着きのあるクリニックを目指したいものである。ファンあっての診療所である。私の疲れが増える前に、優秀なスタッフをたくさん育てなければならない。次の世代にメッセージを伝えることができるのか。
私の師匠は手術をしながら多くのことを教えてくれた。
「チャンスは皆の前を平等に流れている。ただそれをチャンスと思い掴むことができるかどうかである」
その通りである。その次に私が付け加えたことは
「世の中には苦しいことばかりも続かないし、楽しいことばかりも続かない。5年ぐらいの周期で交代する」
と実感している。調子の良い時には次に来るであろう悪い時のために蓄えをして、悪い時には嘆くことなく、もう少し我慢すると必ず日が昇ると信じることである。今年は新しい「チャンス」の年である。
改めて皆様おめでとうございます。
追記:2004年1月のエッセイを少し改変した。
最終更新日:2025.09.08