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Vol.44 チームのバージョンアップ

年が改まると何となく気分が良くなる。

 「去年は大変だったが今年は頑張るぞ!」という気持ちになるから面白い。たった1日の違いだが新年は大切な日であることがよく分かる。落ち込んだ気分や嫌なことをリセットして仕切り直しをしてくれるのである。

 さて今年は何をしようか。最近「チーム医療」と言われることがある。これまでは医者が考えてスタッフに”あーせー、こーせー”と言っていたのだが、患者さんの希望や知識が高くなってきた。医者の説明だけではなかなか納得してもらえない場合もある。それをかみ砕いて説明してくれるスタッフのチームが必要になる。患者さんを中心にして皆で考え治療したり、予防したりすることがチーム医療になる。

 乳ガンの治療をするときに、手術の説明や抗ガン剤の説明ができなくては看護師さんは務まらない。高度な知識を皆で共有していなければいけないのだ。抗がん剤を治療をする時に必要なマニュアルを作らせたらピカ一の看護師さんがいる。持って生まれた本能であろう。治療のスケジュールから薬の説明まで細かな説明書を作ってくれる。

 最近では抗がん剤の治療も通院でできる。看護師さん皆で注射室の環境を整えたり、副作用を予防するための説明、治療中の注意など細かな気配りをしてくれる。そのせいか最近では抗がん剤の副作用が大変減ってきた。

 薬局で薬をもらう時にも”薬局のニーニー”の説明が良いのでおばーたちは医者に聞かないで薬局でおしゃべりをして帰る。検査の時にも優しく声をかけてくれる技師たちがいる。ガンじゃないかと心配しながらの検査である。優しく穏やかな口調が安心感を与えるのである。少しでも疑問に思うとすぐ連絡が入る。前もって情報があると私の言葉もさらに優しくできるのである。

 これらのチームを束ねる中心人物も必要である。婦長さん(看護師長)である。みんなから色々言われることも多いし、人手の足りない時には全ての職種の応援を看護師がしているのである。若い師長さんには大変な仕事を押し付けていると思っている。

 今年はさらにバージョンアップして、みんなで楽しく患者さんのためのチームを作っていきたいものである。

 

 追記:2004年1月ごろのエッセイに少し修正を加えました。

最終更新日:2025.09.08