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Vol.23  時代の橋渡し

一週間が過ぎ、また一週が来るうちに一ヶ月が過ぎ、一年も過ぎてしまう。 今年も少ししか残っていない。年を重ねると一年が早くなるといわれるが、皆はどうだろうか。 「どうか良い年でありますように!」元旦には心をこめてお祈りをするのである。しかし年はどんどん過ぎていく。

 数年前に一代事業をおこなった。わが家の大事な3点セット(家と墓と仏壇)の1つ、墓を移したのである。古い墓にはズシガメがあり、先祖の重みを感じながら移動した。1つの時代の移り変わりを実感した。息子たち次の世代へ橋渡しをしたと思う。

 わが団塊の世代も、定年を迎えたもの、まだ現役で働いているものいろいろである。わたしも毎年忙しくなるばかりである。すこし息切れがしてきたかな? 「もう60歳もすぎているよ」心の自分が体の自分に言い聞かせているのだ。患者さんから「先生、体を大事にしてね」といわれるこの頃である。

 各スポーツには多くのファンがいる。医療も同じである。もっと磨きをかけた、落ち着きのあるクリニックを目指したいものである。ファンあっての診療所である。私の疲れが増える前に、優秀なスタッフをたくさん育てなければならない。次の世代にメッセージを伝えることができるのか。

 私の師匠は手術をしながら多くのことを私に教えてくれた。「チャンスは皆の前を平等に流れている。ただそれをチャンスと思い掴むことができるかどうかである」そのとおりである。その次に私がつけ加えることは「世の中には苦しいことばかりも続かないし、楽しいことばかりも続かない。5年ぐらいの周期で交代する」ということである。

 調子の良い時には悪い時のための貯えをして、悪い時には嘆くことなく、もう少し我慢すると必ず日が昇ると信じることである。 時代はまだはっきりしないが、来年は21世紀に踏み出し10年になる。新しい「21世紀の価値観」が生まれる年になるであろう。

那覇西クリニック理事長
玉城 信光

最終更新日:2009.04.24