2022年
那覇西クリニック手術症例
病期別術後遠隔無再発*率曲線 1996.6~2022.5 n=5043
病期 | 0 | 1 | 2 | 3 |
---|---|---|---|---|
5年無再発率 | 99.7% | 96.7% | 85.2% | 63.0% |
10年無再発率 | 99.7% | 94.3% | 80.3% | 52.8% |
15年無再発率 | 99.7% | 93.7% | 77.3% | 49.2% |
20年無再発率 | 99.7% | 93.1% | 73.7% | 34.4% |
早期(0期と1期)の乳癌は20年以上経っても9割以上の患者さんは遠隔再発がなく、早期発見(乳癌検診)の重要性が分かります。
*遠隔再発とは乳房切除した後の皮膚や温存した乳房内の「局所再発」以外の再発(肺、肝、骨、脳などへの転移)のことです。
病期別術後生存率曲線 1996.6~2022.5 n=5043
病期 | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 |
---|---|---|---|---|---|
5年生存率 | 100.0% | 98.3% | 91.5% | 76.2% | 50.8% |
10年生存率 | 100.0% | 97.2% | 89.2% | 68.0% | 40.4% |
15年生存率 | 100.0% | 97.2% | 88.2% | 65.4% | 30.3% |
20年生存率 | 100.0% | 97.2% | 88.2% | 65.4% | 30.3% |
「病期4(ステージ4)(初診時既に遠隔転移のある)乳癌であっても、手術を行い、適切治療を続けることができれば、手術15年後でも3割の方は元気です。」
サブタイプ**別術後遠隔無再発*率曲線 2011.4~2022.5 n=2721***
サブタイプ | ルミナルA | ルミナルB | ルミナル HER2+ |
非ルミナル HER2+ |
トリプルネガティブ |
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5年無再発率 | 96.5% | 84.8% | 85.5% | 81.8% | 76.0% |
10年無再発率 | 94.9% | 83.2% | 81.1% | 79.2% | 73.5% |
乳癌には性格の異なる5つのサブタイプ(種類)があり、治療(ホルモン療法、抗がん剤治療、抗HER2療法)方法や再発しやすさが異なります。
**サブタイプは免疫染色によります。Ki67 20%未満をルミナルA、20%以上をルミナルBとしました。
***免疫染色Ki67を行うようになった2011年4月以後の症例です。
術後に再発予防の目的でホルモン療法の対象となるルミナルAとルミナルBは合わせて全手術乳癌の7割を占めます。
ルミナルAは再発が最も少なく、他はほぼ同じ再発率ですが、その中でトリプルネガティブは5年を過ぎた頃からの再発は少なくなります。
10年遠隔再発はルミナルAで最も少なく20人に1に対して、最も多いトリプルネガティブでは10人に3人近くです。
サブタイプ**別術後生存率曲線 2011.4~2022.5 n=2788***
サブタイプ | ルミナルA | ルミナルB | ルミナル HER2+ |
非ルミナル HER2+ |
トリプルネガティブ |
---|---|---|---|---|---|
5年生存率 | 99.0% | 94.7% | 90.8% | 85.6% | 79.4% |
10年生存率 | 98.5% | 93.6% | 90.8% | 85.6% | 77.5% |
生存率(癌によって死亡していない割合)は良い順にルミナルA、ルミナルB、ルミナルHER2、非ルミナルHER2、トリプルネガティヴと並びます。最も良いルミナルAでは手術10年後までに死亡するのが1.5%(約50人に1人)に対して、最も悪いトリプルネガティブでは22.5%(約5人に1人)とサブタイプによって大きな差があります。
Stage 1 サブタイプ**別術後遠隔無再発*率曲線 2011.4~2022.5 n=1520***
サブタイプ | ルミナルA | ルミナルB | ルミナル HER2+ |
非ルミナル HER2+ |
トリプルネガティブ |
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5年無再発率 | 98.7% | 93.2% | 96.7% | 96.8% | 87.7% |
10年無再発率 | 98.4% | 93.2% | 90.9% | 92.6% | 83.2% |
Stage 1の早期乳癌の中で、ルミナルBとトリプルネガティブ乳癌は再発しやすく、手術後に抗癌剤治療を行うことが多いです。
ルミナルAとBを区別するためにKi67の免疫染色の他、最近は多遺伝子アッセイ(OncotypeDx、Curebest 95GC Breast、等)を用いることが多くなっています。
Stage 1 サブタイプ**別術後生存率曲線 2011.4~2022.5 n=1520***
サブタイプ | ルミナルA | ルミナルB | ルミナル HER2+ |
非ルミナル HER2+ |
トリプルネガティブ |
---|---|---|---|---|---|
5年生存率 | 99,9% | 96.8% | 98.9% | 100.0% | 90.3% |
10年生存率 | 99.9% | 96.8% | 97.2% | 100.0% | 87.5% |
Stage 1で再発後の生存率はトリプルネガティブ乳癌以外は悪くありません。トリプルネガティブ乳癌では再発率は生存率をそのまま反映し、注意が必要です。
Stage 2 サブタイプ**別術後遠隔無再発*率曲線 2011.4~2022.5 n=1001***
サブタイプ | ルミナルA | ルミナルB | ルミナル HER2+ |
非ルミナル HER2+ |
トリプルネガティブ |
---|---|---|---|---|---|
5年無再発率 | 91.9% | 81.2% | 84.1% | 76.9% | 73.4% |
10年無再発率 | 87.1% | 77.6% | 82.6% | 74.5% | 73.4% |
Stage 2ではいずれのサブタイプも再発率が高くなってきますが、ルミナルBが術後4年を過ぎると再発が急激に増え、非ルミナルHER2やトリプルネガティブのそれに近づくのが目立ちます。これに対して今年より化学療法に加えCDK4/6阻害剤(内服分子標的薬)の術後治療が保険適用となり、改善が期待されます。
Stage 2 サブタイプ**別術後生存率曲線 2011.4~2022.5 n=1001***
サブタイプ | ルミナルA | ルミナルB | ルミナル HER2+ |
非ルミナル HER2+ |
トリプルネガティブ |
---|---|---|---|---|---|
5年生存率 | 96.5% | 96.2% | 89.8% | 83.9% | 80.9% |
10年生存率 | 96.5% | 95.0% | 89.8% | 83.9% | 80.9% |
Stage 2ではいずれのサブタイプでも治療薬の選択が増えてきているため(ルミナルタイプではCDK4/6阻害剤、HER2タイプではトラスツズマブデルクステカン、トリプルネガティブタイプでは抗PD-L1や抗PD1などの免疫療法、parp阻害薬、など)、術後5年を過ぎてからの死亡が少なくなっています。
Stage 3 サブタイプ**別術後遠隔無再発*率曲線 2011.4~2022.5 n=200***
サブタイプ | ルミナルA | ルミナルB | ルミナル HER2+ |
非ルミナル HER2+ |
トリプルネガティブ |
---|---|---|---|---|---|
5年無再発率 | 80.2% | 59.1% | 53.2% | 59.9% | 57.5% |
10年無再発率 | (60.1%) | 59.1% | 35.5% | 59.9% | 47.9% |
進行乳癌であるStage 3ではいずれのサブタイプも再発率が高くなっている中、ルミナルAは(術後5年までは)比較的再発が少ないです。
Stage 3 サブタイプ**別術後生存率曲線 2011.4~2022.5 n=200***
サブタイプ | ルミナルA | ルミナルB | ルミナル HER2+ |
非ルミナル HER2+ |
トリプルネガティブ |
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5年生存率 | 100.0% | 86.3% | 67.8% | 65.0% | 69.5% |
10年生存率 | (100.0%) | 86.3% | 67.8% | 65.0% | 57.9% |
Stage 2より進行しているStage 3で再発率が高くなっている中、Stage 2同様治療薬が増えているため、術後5~6年を過ぎてからの死亡は少なくなっています。特にStageの進んでいるトリプルネガティブ乳癌に対しては今年より抗PD1などの免疫療法が術前療法として行えるようになりこのタイプでの再発率と生存率の向上が期待されています。
Stage 4 サブタイプ**別術後生存率曲線 2011.4~2022.5 n=67***
サブタイプ | ルミナルA | ルミナルB | ルミナル HER2+ |
非ルミナル HER2+ |
トリプルネガティブ |
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5年生存率 | 83.3% | 60.8% | 80.0% | 58.0% | (12.7%) |
「病期4(ステージ4)(初診時既に遠隔転移のある)乳癌であっても、手術を行い、適切な治療を続けることができればトリプルネガティブ乳癌以外は長期生存が得られるようになってきており、特にHER2タイプ(ルミナル・非ルミナル)乳癌では治癒を望めるようになっています。
トリプルネガティブ乳癌においても抗PDL1、抗PD1抗体療法の登場により、長期生存に期待が持てるようになりました。