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エッセイ

Vol.21 「くだす」

わたしは快食、快便である。大腸も長くなく、カメラもスムーズに通る愛すべき大腸である。

 しかし、わたしの腸も時々、下りの世界に入る時がある。水(アルコール入りの)をたくさん飲んだ時や賞味期限の切れたものを食した時などである。

 わたしのような昔気質の男は、わが家の女性が留守の時などに冷蔵庫の中に密かに隠されている美味しそうなものを見つけだしては食するのである。期限をみると「1週間前か、まだ食えるな」においを嗅いでみる。舌にのせてみる。ピリピリする様子はない。「オーケー」飲み込むのである。

 おいしいごちそうではあるが、私の腸の能力をこえるものが、たまにはある。夜中の3時頃、お腹の中で運動会が始まる。このような運動会もその日の夕ご飯までにはおさまるから、わたしの腸は立派なものである。

 人間の体は大変すばらしい働きをする。看護学校の解剖学の時間に教えることがある。ピクニックの弁当をひろげると蝿がよってくることがあるが、追い払うことはない。蝿の付いたものから先に食べた方が良いと教えている。

 普通の人は胃の中に胃酸というすばらしいモノがある。トイレの消毒剤と同じくらい強い酸である。食べ物に付いているばい菌を消毒するためにある。少しばかりのばい菌はすぐに消毒してくれる。病院などに住みついている強力な院内細菌もすぐに殺してくれるので、健康な人がそのような病気にかかることは少ないのである。

 胃酸が殺しきれないほどのばい菌がいたり、体にとって良くないもの食べてしまった時には人間はどうなるのか。

 吐くのである。生物は自分に合わないものは吐いて外へ出そうとするのである。

 運悪く胃を通り過ぎた毒素はどうなるのか。

 「どうなると思う?」

 早く体から毒素を排出するために下痢をするのである。だから無闇に下痢を止めてはいけない。本能で毒を早く出そうとしているのである。昔、0-157の食中毒があった時に下痢をした人は助かったのである。下痢の時には脱水に注意をして下痢はすぐにとめない方が良い。

 わたしも上手に下痢とつきあっているのである。1日で止まるのであるから、あわてることはない。

 それにしてもわが家の女性よ、美味しいものは“期限内”に食べさせて頂きたいものである。

(2006年11月10日 掲載)

那覇西クリニック理事長 玉城信光

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