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Vol.10 こどもに夢

 受験のシーズンである。我が家にも二人の受験生がいる。長男は卒業後の資格試験、これもなかなか難しいらしい。もう一人は最後の大学受験であって欲しいと願うこの頃である。

 長男が生まれた頃、「この子が受験する頃には世の中はきっと変わる。受験戦争はなくなっているはずである」とわが女房に宣言したものである。しかし変わらなかった。この10年余り5人の子供の受験の連続である。なぜこのように追いまくられなければいけないのか。あまり使われない知識をつめすぎて頭も可哀想である。子供達の楽しい夢がどんどん壊れていく。

 いろんな夢が生まれる学校をつくりたいものだ。おきなわには資源がない。人を育てることがおきなわの財産だと思う。子供達が楽しく勉強や運動をする環境をつくれたらいいな。幸いに学校も土曜日が休みになった。たいへんうれしいことである。これをうまくつかう方法を考えたので聞いて欲しい。

 ウィークデーに休み、土曜日に出勤する先生がいてもよい。土曜日は子供達に好きなことを思いきりさせよう。開南小学校で英語教室、英検1級をめざすのである。宇栄原小学校には数学の天才が集まるのである。識名小学校ではパソコン・ゲーム教室、いろんなゲームのやり放題である。首里では大人に混じって囲碁大会を、全国大会で優勝する人がでてくるだろう。豊見城ではサッカー教室、その近くにJリーグの選手の練習場もつくろう。その他に野球教室などいくらでも好きなことができるのである。

 ついでに指導者も!大学院大学にまけないだけのすばらしい先生をつけよう。長島茂雄が教えてもよいではないか。大学の先生も専門学校の先生も医者の先生もみんなで楽しく教えよう。たくさんのボランティアの先生が知恵を出し合って、おとな顔負けの授業が展開されるのである。

 もちろん校区はない。浦添から那覇に“勉強”に来てもよいのだ。初級の学校からはじめるが、上手になると中級にすすみ、最後には大学生より才能をもった小学生や中学生があらわれるのである。

 運動会で一緒に手をつないでゴールするなどもってのほかである。「僕は数学はできないが、サッカーではきみにまけないぞ」「わたしはケーキ作りの名人よ」キラキラと輝く子供達の目がうれしい。

 夏休みには本土の子供とお母さんのための音楽教室。先生はバイオリニストの玉城さん。「おきなわ数学天才塾」旅費、宿泊7日間で5万円。お母さんには健康、長寿、美容教室付きである。子供達もタバコをすっているひまはない。暴走するひまもない。花壇や畑も作ってもらおう。

 数学の天才はきっと英語もできるようになるのである。もっと、もっと勉強したい時には外国のことも知りたくなるのである。必要なことは自然に身につくのである。おきなわ天才塾の開校である。

(2003年8月1日 掲載)

那覇西クリニック理事長
玉城 信光

最終更新日:2003.08.01